「手彫り」の手順を紹介したサイトは沢山ありますが、実際に「あなたの大切な印鑑はこうやって彫らせていただきました。」 と、その証拠をお付けしている業者は殆どないと思います。
と いうのは、手で彫れる人でしたら下記のページをつくる事はどなたにも出来るからです。
あなたは注文して届いた大切な印鑑が「手彫り」であるかお解りになりますか・・・?
当店では承った印鑑に本物の手彫りである証拠(作業工程書)をお付けいたしておりますので安心してお買い求めできます。
はんこが出来るまでには、いくつもの手順がございます。 ここでは、それをひとつひとつ解説しながら、印鑑ができるまでをご覧頂きます。
1、印面調整(いんめんちょうせい)
店頭に陳列してある印材は平に見えてもその殆どの彫刻面は歪んでいますので先ずサンドペーパーで擦って平らにします。
円を描くように優しく丁寧に水平均等を心がけ真に平らになるまで繰り返し擦ります。
これをせずに彫刻してしまうと綺麗に捺印できない印鑑になってしまいます。建物に例えるなら基礎工事に相当する大変重要な作業です。
2、朱打ち
今度は平らに整えた彫刻面に文字を書くため朱墨を打ちます。ちなみにこのサイトで取り扱っている象牙、牛角、黒水牛、柘 すべてにこの朱墨をまんべんなく均等に塗ります。
理由はこの後にご説明しますが彫刻文字をバランスよく書くための準備だと思って下さいね。
3.字割り
彫刻文字数を綺麗に収めるために道具(字割具)を用いて軽く線をひきます。
「前田利家」さんの場合は4文字ですので左右共に2つの四角いワクを作りさらにその中にタテ・ヨコの中心線をひきます。
※ 線の跡は工程8で消えますので安心して下さいね。
4.字入れ
気持ちをこめて筆で彫刻文字を書いていきます。当然ですが逆文字で書く事になりますのでヘンとツクリ、文字数や画数によって文字のバランスに注意を要します。
もちろんどの手順であってもそうですが、私はこの字入れ作業は一番集中している時です。
※ 文字の線もうすく書いてあるのがお解りですか? 筆で書く前に見当をつける意味です。
「当店ではこの工程をあなたに確認していただきますので、よりご自身のイメージに近い印鑑が期待できます。」
5.鏡で確認
印材に書いた文字が正体している事、文字の大小やバランスも併せて確認します。綺麗におさまるまで何度も繰り返します。
納期がある場合に限っていえば私は一旦作業を止めて翌日以降に修正する事もあります。
その理由は時間をあけて再度確認することで新たな修正点を発見できるからです。
6.荒彫り
彫刻刀で深さを一定に保ちながら文字の周りを丁寧に彫っていきます。 ワクを作りながら彫っているのがお解かりですか? ちなみに彫刻している時の音は印材によって異なります。
柘はサクサク、黒水牛や牛角はカタカタ、象牙はキュンキュンとかん高い音がでます。特に象牙は硬いので彫刻刀の刃先が折れる時もあるんですよ。
7.荒彫り終了
ワクになる箇所を残し文字の周り、つまり朱墨の部分を彫り終えました。 ここまでするのにけっこう時間がかかるのがご想像できると思いますがいかがでしょうか?
丁寧に筆で文字を書き、それをさらに慎重かつ丁寧に彫刻刀で彫っていく作業がここまでになります。
ちょっと一息いれましょう。
8.表面の墨をとります
ここでは仕上げ砥石で紹介しますが使い古しのサンドペーパーでもかまいません。彫刻面の墨を取り除きながらさらに表面を滑らかにします。これで彫刻面はツヤツヤになりますよ。
※ 上記3、4で紹介した字割作業の線も消えてしまいます。
9.表面の確認
彫刻面(専門用語で印面といいます)の墨が綺麗にとれた事を確認します。また、スタンドのライトをかざしながら今一度、表面にキズなどがないか念入りに確認します。
もし、小さなキズなどあった場合はもう一度上記8の工程を実行し再度確認します。
10.墨打ち
ここでは一定の墨の濃さで彫刻面にまんべんなく均一に墨がのるように注意しながら打っていきます。こうする事によって文字がハッキリ現れますので次の工程の準備も含み、筆で書いたように仕上げていくイメージを創ります。
※ ちなみに印材が黒水牛や牛角の場合は朱墨を打ちますよ。
11.仕上げ
「前」の文字から仕上てもいいのですが、この場合画数の多い「家」の文字から仕上げていきます。その理由は画数が多い文字に太さを合わせた方が完成後綺麗に捺印できるからです。無心に一刀・一刀慎重に仕上げていきます。
※横浜での修行時代には先生から「文字に魂をこめて仕上げなさい」と教わったものです。
12.仕上げ
「利家」の行に続けて「前田」の行を仕上げていきます。工程4の字入れ作業同様集中しています。何も考えずただひたすら無心で仕上げていきます。
私は「真心こめて」や「気持ちをこめて」とは今とりかかっているその仕事にどれだけ全力で集中しているかだと思っています。
13.仕上げ完了です
完成しました! 「10」の段階と見比べると分かりやすいですよ。ワクと文字が綺麗に仕上げっているのがお解りでしょうか?
上記1からここに至るまでそれ相当な時間がかかりました。目も疲れますし肩もこりました。(笑)
ネットでは 「手彫り印鑑翌日発送!」 と激早・激安を謳っている業者がありますが、その場合大勢の職人が必要になります。人件費がかかるのになぜそんな値段で出来きるのと不思議に思いませんか?「手彫り印鑑」の記載表示だけなら誰でもできます。
14.捺印
さあ 捺してみましょう。ハンコを綺麗に捺すのは案外難しいものです。私は専用の下敷きを用いますが紙を数枚重ねて捺しても大丈夫です。
上下左右均等に「ギュ〜〜」 とゆっくり円を描くように圧力をかけるのがコツですよ。
ゴム製マットも悪くないですが、あまり柔らかなものですと彫刻面が沈みすぎるため硬めの方をお薦めいたします。
また、朱肉のコンデションにも大きく影響されますので特に安価なものはお薦めしません。
15.印影です
加賀百万石「前田利家公の実印?」だったらスゴイですね!(笑)
ちなみに篆書体はお札に印刷してあるハンコ(総裁之印)と同じ書体になります。篆書体と新篆書体とで迷われるお客様も多いですが、好みの問題になりますのであまり深く考えなくても良いと思いますよ。
参考までに
私が新篆書体を彫らせていただく場合は篆書体の基本形を重視して曲線の多様化を用いアレンジします。予めお伝えさせていただきますが「姓名鑑定」などには一切ふれない書体です。
「前田利家」さんの新篆書体です。参考までにどうぞ。
上記に説明させていただいた事が【完全手彫り作業】です。残念ながら石川県内でこれができる方は、5人程しか知りません。 またその方々は全て、国家検定の手彫りの実技をクリアーしている1級技能士取得者です。 あなたは無資格者がロボットで作るコピー印鑑を購入しますか?「早い!安い!」の大体がこれです。プロが彫る唯一・無二(あなただけの文字)の印鑑が安心できると思いませんか?
最後までご覧いただきまして ありがとうございました。
冒頭の「はんこができるまで」でも紹介させていただきましたが、綺麗な印影にするためには彫刻面が真っ平らでなければいけません。
この作業を※専門用語で印面調整(いんめんちょうせい)といいます。 印材問屋さんから仕入れたままの状態では印面が真平(マッタイラ)ではないのです。
これから紹介するのは一番凹凸が解りやすい牛角です。 殆どの牛角は印面が凹んでいますので印面調整には他の印材より時間かかります。
あなたも 「えっ! こんなに凹んでいるの?」 と思いますよ。
前述より写真を多くしてご説明しますのでお時間があればごゆっくりご覧くださいね。
解りやすく説明させていただくために彫刻面(印面)に朱墨を塗ります。 もし、平であればサンドペーパーで擦ったら全ての朱墨が落ちるはずです。
こうやってご覧いただければ一目瞭然ですよね。サンドペーパーで少し擦りましたが、朱墨が残りました。 印材の周りには擦ったカスがあるのがお解りいただけると思います。朱色部分が凹んでいます。
さらにこすりましたが、まだまだ凹んでいますね。(汗) ここでももちろん丁寧を心がけ、ぐるぐる円を描くようにひたすらこすります。
しかし、腕がだるいです・・・
けっこうこすりましたが、それでもまだ凹んでいます。 朱色部分が小さくなりましたが、凹んでいるのはお解りいただけますか?
マッタイラになるまで、あと一息です。
最初と比べるとけっこうこすっているのがお解りいただけると思いますが、最小限の長さをこする場合、やはり手作業が一番です。
実はこの「印面調整」という作業は無資格者や2級技能士は機械でやってしまうので、「ちょうど良い具合」という感覚的なものを無視して余計に削ってしまうのです。
一気に「ザ〜」と余計に削るのと、少しづつ印面の「具合」を確認しながら丁寧に優しくこするのとは全く異なるわけです。
やっとマッタイラになりました。
ここまでご覧いただきまして、ありがとうございました。 いかがでしょうか、朱色部分がなくなりましたね。 やっと平らになりました。
ちなみに、小さな穴があるのがお解りいただけますか? 「これが芯になります。」
牛角、黒水牛には芯があります。 当店ではこの「芯持ち印材」で彫らせていただいています。
平になったかを確認するため、もう一度、朱墨を塗ります。
既に平らになった事は確認できましたが、解りやすくご説明する意味で「本当に平らになったのか?」を確認してみます。
私はこの「印面調整」は建築関係の仕事に例えるなら「基礎工事」だと思っています。 なぜなら、平らではない印面に文字を書いて彫刻してそれを最終的に書面に捺印した時、その印影が均一に綺麗ではなかったら台無しになるからです。今回の場合、もし印面を凹んだままハンコに完成したら印影の中心部分が、うつらない事になります。 そういった残念な事になるのを回避するためにも念には念を入れます。
確かに平らになりましたね。
サッとこすっただけですが、ご覧のように朱色部分が一回でなくなりました。 均一に平らになった証拠です。
ただ、私は文字を書いて彫刻する前の段階、つまり、この「印面調整」が重要な作業と心得ていますので、しつこいかもしれませんがもう一度、朱を塗ります。
さて、もう一度だけこすってみますね。
バッチリです。 超マッタイラですね!
これでマッタイラになった事がお解りいただけたと思います。 最初より粒子の細かなサンドペーパーを用いてますが、それでも軽く擦っただけで朱色部分は全てなくなりました。 これで牛角の「印面調整作業」は完了となります。
ここまでご覧いただきまして、本当にありがとうございました。<(_ _)>
最初に、あなたのイメージに近づけるために 【手下書き】 をご確認していただき、それをご納得いただいたうえで、【字入れ】(印材に文字を書いたもの)を鏡で反転させ最終確認していただきます。
これらを作業工程書にして完成した印鑑にお付けいたします。つまり正真正銘の完全手彫り印鑑をお約束できます。
はじめて印鑑がご入用になった際は、印材・サイズ・書体・納期などご不明な点が色々あると思います。
そういう場合はご注文に関わらず、まずはお気軽にご相談くださいませ。 もちろん、しつこい営業は一切していませんのでご安心ください。
※ 個人情報の観点からお問合せいただいた件は、7日程度経過してもお返事がなかった場合は完了したものと認識しメールは削除しています。
塩屋印房 厚生労働大臣認定(057-14-2)・1級技能士印章店 石川県金沢市大額2丁目224番地2 【営業時間】 9:00〜18:00(日・祝 休業)
【ご注意ください】
ネットでは2級技能士や無資格者が「手彫り、手仕上げ印鑑」と表示して「開運印鑑」を販売されている業者が多いですが、この殆どがPCフォントで構成された流れ作業の印鑑です。
ちなみに「開運体や吉相体」はPCが存在しない時代に1級印章彫刻技能士の諸先輩方が技を競い合うために開発した書体であり、完全手彫りで生きた文字である事が前提条件になります。
あなたの大切な印鑑は伝統的な手彫り技法によって完遂できる国家認定・1級印章彫刻技能士の店をお薦めいたします。